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成年後見の概要 法定後見 任意後見 事務委任 後見と費用負担 契約書例

契約書例

任意後見契約書の作成の注意点
移行型任意後見契約は、委任契約と任意後見契約を締結し、両方の契約の良い部分を生かして後見事務を遂行できる方式です。
契約書の骨子になる部分は公証役場で雛形を提供してもらえますが、個々の契約内容については当事者同士でよく話し合って決める必要があります。
もっとも重要なのは代理権目録です。この部分に不足があるといざ後見が開始された後の実務に支障が出ます。代理権は本来の狙いよりも多少包括的な内容にしたほうが後々の後見事務をスムーズに進められます。
だからといって、あまり広範な代理権を設定してしまうと、本来考えている任意後見契約とかけ離れてしまいますので、慎重な調整が必要です。
また、契約書の内容だけで後見事務の内容を完全に定義することはできません。
日頃委任者の好みやいざと言うときの対応の希望を受任者に伝えておくことが重要です。
移行型任意後見契約書の例
委任契約及び任意後見契約公正証書
本公証人は、委任者○○(以下「甲」という)及び受任者○○(以下「乙」という)の嘱託により、以下の法律行為に関する陳述を録取し、この証書を作成する。
第1 委任契約
第1条(契約の趣旨)
甲は乙に対し、平成○○年○○月○○日、甲の生活・療養監護及び財産の管理に関する事務(以下「委任事務」をいう)を委任し、乙はこれを受任する。
第2条(任意後見契約との関係)
 1、本契約締結後、甲が任意後見契約に関する法律第4条第1項所定の要件に該当する状況(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況)になり、乙が後記第2の任意後見契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の請求をする。
 2、本契約は、後記第2の任意後見契約につき任意後見監督人が選任され、同契約が効力を生じた時に終了する。
第3条(委任事務の範囲)
 1、甲は、乙に対し、別紙代理権目録記載の委任事務(以下「本件委任事務」という)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。
 2、乙は、本件委任事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、甲の心身の状態、生活の状況等甲の身上に配慮するよう努める。
第4条(証書等の引渡し等)
 1、甲は、乙に対し、本件委任事務処理のために必要と認める次の証書類を引き渡す。
1)登記済権利証
2)実印・銀行印
3)印鑑登録カード
4)預貯金通帳
5)年金関係書類
6)各種キャッシュカード
7)有価証券
8)不動産の賃貸借契約等の重要な書類
9)保険証券
10)その他甲乙が合意したもの。
 2、乙は、前項の証書等の引渡しを受けたときは、甲に対し、預かり証を交付してこれを善良な管理者の注意義務をもって保管し、上記証書等を本件委任事務処理のために使用することができる。
第5条(費用の負担)
乙が本契約に基づく事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができる。
第6条(報酬)
甲は、乙に対し、一ヶ月当たり○○○○○円の委任報酬を毎月末日限り支払う。乙はその管理する甲の財産から委任報酬の支払を受けることができる。
第7条(報告)
 1、乙は、甲に対し、6か月ごとに、本件委任事務処理の状況につき報告書を提出して報告する。
 2、甲は、乙に対し、必要と認めるときは、前項にかかわらず、いつでも、本件委任事務処理の状況につき報告を求めることができる。
第8条(契約の変更)
本契約に定める代理権の範囲を変更する契約は、公正証書によってするものとする。
第9条(契約の解除)
甲及び乙は、いつでも本契約を解除することができる。
第10条(契約の終了)
本契約は、第2条2項本文の場合のほか次の場合に終了する。
1)甲又は乙が死亡又は破産したとき
2)乙が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたとき
第11条(契約終了時の財産の引継ぎ)
 1、本契約が甲の死亡以外の事由によって終了した場合は、乙は、その管理する財産及び帳簿類並びに第4条第1項により引渡しを受けた証書等を甲又はその法定代理人に引き渡すものとする。
 2、本契約が甲の死亡により終了した場合は、乙は、その管理する財産及び帳簿類並びに第4条第1項により引渡しを受けた証書等を遺言執行者、相続人又は相続財産管理人に引き渡すものとする。
第2 任意後見契約
第1条(契約の趣旨)
甲は、乙に対し、平成○○年○○月○○日、任意後見契約に関する法律に基づき、同法第4条第1項所定の要件に該当する状況(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況)における甲の生活・療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「後見事務」という。)を委任し、乙はこれを受任する。
第2条(契約の発効)
 1、前条の契約(以下「本契約」という。)は、任意後見監督人が選任された時からその効力を生じる。
 2、乙は、本契約の効力が生じたときは、甲の取引金融機関に対して、その旨届け出る。
 3、本契約の効力発生後における甲と乙との間の法律関係については、任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか、民法の規定に従う。
第3条(委任事務の範囲)
甲は、乙に対し、別紙代理権目録記載の後見事務(以下「本件後見事務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。
第4条(身上配慮の責務)
乙は、本件後見事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ、甲の心身の状態、生活の状況等甲の身上に配慮するものとし、その事務処理のため、適宜甲と面接し、ヘルパーその他日常生活援助者から甲の生活状況につき報告を求め、主治医その他医療関係者から甲の心身の状態につき説明を受けることなどにより、甲の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとする。
第5条(後見事務計画書)
 1、乙は、甲の意思を尊重して、別途甲の後見事務計画書を作成し、それに沿って本件後見事務を処理しなければならない。
 2、乙は、前項の後見事務計画書の内容に沿って本件後見事務を処理することが甲の福祉にかんがみ適当でないと認めたときは、任意後見監督人との協議により、同後見事務計画書の趣旨を斟酌し適切な方法により本件後見事務を処理するものとする。
第6条(報酬)
 1、甲は、乙に対し、本件後見事務処理のために必要と認める次の証書等を引き渡す。
1)登記済権利証
2)実印・銀行印
3)印鑑登録カード
4)預貯金通帳
5)年金関係書類
6)各種キャッシュカード
7)有価証券
8)不動産の賃貸借等の重要な契約書類
9)保険証書
10)その他甲乙が合意したもの
 2、乙は、甲から本件後見事務処理のために前項の証書等の引渡しを受けたときは、甲に対し、その明細及び保管方法を記載した預かり証を作成し、これを甲に交付するとともに、任意後見監督人に報告する。乙は、引渡しを受けた証書等については、善良な管理者の注意義務をもって保管管理し、本件後見事務処理のために使用することができる。
 3、乙は、本契約の効力発生後甲以外の者が前項記載の証書等を占有所持しているときは、その者からこれらの証書等の引渡しを受けて、自らこれらを保管することができる。
 4、乙は、前2項により引渡しを受けた証書等の保管者を別に選任し、その者にこれらの証書等を保管させることができる。
第7条(費用の負担)
乙が本件後見事務を処理するために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができる。
第8条(報酬)
甲は、乙に対し、一ヶ月当たり、○○○○○円の後見報酬を毎月末日限り支払う。乙は、その管理する甲の財産から後見報酬の支払いを受けることができる。
第9条(任意後見監督人への報告)
 1、乙は、任意後見監督人に対し、3か月ごとに、本件後見事務に関する次の事項について書面で報告する。
1)乙の管理する甲の財産の管理状況
2)甲の身上看護につき行った措置
3)費用の支出及び使用状況
4)報酬の収受
 2、乙は、任意後見監督人の請求があるときは、前項にかかわらず、いつでも速やかにその求められたに事項つき報告する。
第10条(契約の解除)
 1、任意後見監督人か選任される前においては、甲又は乙は、いつでも公証人の認証を受けた書面によって、本契約を解除することができる。
 2、任意後見監督人が選任された後においては、甲又は乙は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、本契約を解除することができる。
第11条(後見登記)
 1、乙は、本契約に関する登記事項に変更が生じたことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。
 2、乙は、本契約が終了したときは、嘱託による登記がされる場合を除き、終了の登記を申請しなければならない。
第12条(契約の終了)
本契約は次の場合に終了する。
1)甲又は乙が死亡又は破産したとき
2)甲又は乙が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたとき
第13条(契約終了時の財産の引継ぎ)
 1、本契約が甲の死亡以外の事由によって終了した場合は、乙は、その管理する財産及び帳簿類並びに第6条第1項及び第2項により引渡しを受けた証書等を甲又はその法定代理人に引き渡すものとする。
 2、本契約が甲の死亡により終了した場合は、乙は、その管理する財産及び帳簿類並びに第6条第1項及び2項により引渡しを受けた証書等を遺言執行者、相続人又は相続財産管理人に引き渡すものとする。
第3 死後事務の委任契約
第1条(契約の趣旨)
甲は乙に対し、平成○○年○○月○○日、甲の死後の事務(以下「本件死後委任事務」という。)を委任し、乙はこれを受任する甲の生活・療養監護及び財産の管理に関する事務(以下「委任事務」をいう)を委任し、乙はこれを受任する。
第2条(委任事務の範囲)
甲は乙に対し、次の事務を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。
 1、死亡届、葬儀、埋葬に関する事務及び将来の供養に関する事務一切
 2、医療費、施設利用費、公租公課等債務の精算、及び施設入所等入居一時金の受領に関する事務一切
 3、その他身辺の整理、年金関係等の各種届に関する事務一切
第3条(費用の負担)
乙が本件死後委任事務を処理するために必要な費用は、乙の管理する甲の遺産からこれを支出するものとする。
第4条(解除)
甲及び乙は、いつでも本件死後委任事務契約を解除することができる。
代理権目録
 1、以下の事務を含む甲に帰属する全ての財産の管理・保存・変更・処分
 (1)金融機関・証券会社及び郵便局との全ての取引
 (2)定期的な収入の受領及びこれに関する諸手続き
 (3)定期的な支出を要する費用の支払い及びこれに関する諸手続き
 (4)生活に必要な物品の購入等日常生活に関する取引・管理
 (5)税金の申告・納付並びに不服審査申立
 2、不動産の処分並びに補修・改良・管理に関する事項
 3、不動産の賃貸借契約の締結・変更・更新・解除
 4、登記済権利証・実印・銀行印・印鑑登録カード・預貯金通帳・年金関係書類・各種キャッシュカード・有価証券・建物賃貸借契約書等の重要な証書等の保管及び各種手続きに関する事項
 5、住民票・戸籍謄抄本その他行政機関の発行する証明書の請求及び受領
 6、登記・登録の手続及び不服審査申立並びに供託手続
 7、保険契約の締結・変更・解除並びに保険金の受領
 8、遺産分割又は相続の承認・限定承認・放棄
 9、贈与若しくは遺贈(負担付の贈与若しくは遺贈を含む。)の受諾又は拒絶
 10、要介護認定の申請及び認定に関する承認又は異議申立
 11、介護契約および介護契約以外の福祉サービス利用契約の締結・変更・解除及び費用の支払い
 12、福祉関係施設への入所に関する契約(有料老人ホームへの入居契約等を含む。)の締結・変更・解除及び費用の支払い
 13、福祉関係の措置(施設入所措置等を含む。)の申請及び決定に関する異議申立
 14、医療契約並びに入院に関する契約の締結・変更・解除及び費用の支払い
 15、裁判外の和解・示談並びに仲裁契約
 16、行政機関等に対するすべての申請・届出並びに不服申立
 17、訴訟行為及び民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項(反訴の提起、訴の取下げ、裁判上の和解・請求の放棄・認諾、控訴、上告、復代理人の選任等)
 18、以上の各事務に関する復代理人の選任、事務代行者の指定
 19、以上の各事項に関連する一切の事項
以上
※委任契約と任意後見契約をひとつの公正証書にまとめた場合の例です。
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